013 レモンの木の小皿
15年前、パリからモロッコのタンジェに旅をした。小説家のポール・ボウルズがそこに暮らし、代表作の「シェルタリング・スカイ」を執筆したことから、タンジェは長年憧れていた。有名な「カフェ・ハウ」でミントティーを飲んだときは感慨深かった。3日という短い滞在だったが、毎日彷徨うようにして旧市街の混沌とした市場やカラフルでエキゾチックな伝統的なモロッコを存分に楽しんだ。
迷い込んだ路地の道端で、木をくりぬいて作った皿やボウルを売っている親子がいた。興味深く見ていたら、匂いを嗅げとひとつ渡され、鼻を近づけると、レモンの爽やかな香りに驚いた。手の平に載るくらいの小さなボウルを買って帰った。
ナッツやシリアル、ドライフルーツをちょこっと盛るのにちょうどよく、おやつタイムの定番の器になっている。鼻を近づけると、今でもレモンの香りがする。目をつむるとタンジェの旅が蘇ってくる。
食いしん坊のクローゼット
001 三時のおやつに菊皿
002 アスティエの角皿
003 リーサ・ハッラマーのデザート皿
004 1930年代のカフェオレボウル
005 「if」のピューター皿
006 白磁の茶椀
007 木の平皿
008 ブルーウィローの皿
009 安南焼の茶碗
010 成田理俊のステンレス皿
011 サーラ・ホペアのコップ
012 仲村旨和のカッティングボード
013 レモンの木の小皿