───── オイシサノトビラについて
“毎日、たいしたもの食べてなくって”
幾度となくこの言葉を耳にしてきました。
評価の高いレストラン、栄養バランスが整った献立、SNSでたくさんの「いいね」を集める食事、みんなにお祝いしてもらった記念日。
これだったら誰に見せても恥ずかしくない・・・!
「おいしい」、そう言える食事はまるで日常とはかけ離れた場所にあるかのように、いつの日からか、食事というものがずいぶん難しいものになってしまったように感じます。
「おいしさ」って、なんだろう。
いつも同じような料理を作っているけれど、実はちょっとずつ食材を変えて季節の変化を無意識に楽しんでいる、そんな自分が少しかわいらしく見える。
よく行くカフェで、ぐにゃりとゆがんだラテアートが出てきたとき、誰でも失敗することってあるよね、と午前中の仕事でのミスが笑えてくる。
実家に帰っての夕食、何かのノベルティでもらったと思われる器に盛られた料理。映えない。でもそこに確かに存在するのは子供の頃から好きだった“あの”煮物。
お互いアルバイトの給料日までお金がないからと、公園でアイスクリームを半分個にした暑い夏の日。
目の前にある物質としての食べ物と、その周りを彩るひと、音、香り、うれしい・悲しい・くやしいといった様々な感情、それらが重なり合って、「おいしい」記憶になってゆく。そして誰のものでもない自分だけの「おいしい」記憶は、何気なく通り過ぎてゆく私たちの日常の中にこそあると思うのです。
オイシサノトビラでは、あなたがその記憶に出合うきっかけとなることを願い、人の語る、さまざまな「おいしい」記憶のものがたりをお届けしています。
誰に褒められなくてもいい、背筋を伸ばす必要もない、ただ「私の今日のご飯、わるくないな」そう思える瞬間を一人ひとりの中に増やしていくことが私たちの目標です。
あなたが今日、あなただけの「おいしい」記憶と出合えますように。
オイシサノトビラ編集部
運営:味の素株式会社