竹中夏海|振付師
もし「いま、会いたい人は?」と聞かれたら。
ほとんどのことをスマホで完結できる時代ですが、時間をかけて出かけたり、会ったりするからこそ生まれる会話や思い出があるのではないでしょうか。効率が求められがちな今だからこそ、あえて非効率にしてみる。そこには、心の豊かさがあるのかもしれません。
今回は「いま、会いたい人」をテーマにお届けします。
広告やテレビ番組、様々なステージの振付・演出を手がける竹中夏海さん。今回は竹中さんに、「いま会いたい人」について聞きました。
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竹中夏海(たけなか なつみ)振付師
2009年振付師としてデビュー。アーティスト、広告、テレビ番組など幅広い分野で振付・演出を手がける。2021年には、女性アイドルの心身の健康や働き方をテーマにした著書『アイドル保健体育』を出版。2025年からはPodcast『我々は安心してエンタメが観たい』のパーソナリティを務めるほか、文化・芸能こころの窓口 Mebukiにエンタメ業界専門の産業カウンセラーとして所属。2026年には、女性のライフステージの変化や日々の実感を笑いと音楽でつなぐプロジェクト「紫芍薬歌劇団」を企画・プロデュースするなど、表現とケアの両面から活動している。
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オイシサノトビラ
竹中さんが「いま会いたい人」はどなたでしょうか?会いたいと思った理由もあわせて教えていただきたいです。
竹中さん
朝ドラ『虎に翼』の大庭梅子さんです。実在の人物ではないので実際に会うことはできませんが、作品の中でいつでも会うことができるとも言えます。
梅子さんは主人公の寅子の学生時代の友人で、三児の母でありながら、法を学ぶために若者たちとともに勉学に励みます。それがどれだけ大変なことか。同時に、梅子さんが自分の人生を取り戻すための大切な時間でもあったのだろうなと、本当の友人を見つめるような気持ちに毎朝包まれていました。
誰かとゆっくりごはんができるなら、梅子さんにそういう時間を持ってほしいと思い浮かびました。
オイシサノトビラ
作品を見ていて、日々の暮らしの中でも梅子さんを思い出すことはありますか。
竹中さん
梅子さんは同級生たちのために、毎日大量のおにぎりを握って行きます。ドラマや映画に出てくるごはんを再現するのが好きな私は、梅子さんが握っていた赤・黄・緑のおにぎりを握ってみたことがあります。
赤はたぶん梅。黄色はたくあん? いや、炒り卵ではないだろうか。梅子さんのことだから、ほかのとコントラストをつけるために、味つけは少し甘くしているだろう。緑は青菜? 大根やカブの茎を大事に取っておき、混ぜごはんにしたのかな。
つくっている間、梅子さんとおしゃべりしながら料理しているような体験でした。

写真:梅子さんのおにぎりを再現して竹中さんが握った赤・黄・緑のおにぎり
オイシサノトビラ
竹中さんにとっての「オイシサ」とは、どのようなものでしょうか。
竹中さん
今の私が大切にしているのは、「誰も犠牲にならないごはん」です。
チェーン店も大好きだし、食べることは私にとって日常の喜びです。
だからこそ、その企業を利用することが、知らないうちにどこかの国の戦争や虐殺を支えることにつながっていないか、以前よりよく調べるようになりました。
どんなに味が好きでも、その背景を知ったあとに不安や後ろめたさが残ると、私にとっては心から「おいしい」と言えません。自分の楽しさが、誰かの痛みや犠牲の上に成り立っていないと感じられること。
私にとっての「オイシサ」とは、味覚だけではなく、安心して選び、安心して食べられることなのだと思います。
オイシサノトビラ
「梅子さんにも、ゆっくりごはんを食べる時間を持ってほしい」その言葉に、日々誰かのためにがんばる人にも、食事を楽しんでほしいというあたたかい想いを感じました。竹中さん、ありがとうございました。
了
テーマ|いま、会いたい人
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