著者プロフィール
2011年、アメリカの出版社PRE/POSTより詩集『裸でベランダ/ウサギと女たち』で逆輸入デビュー。「群像」「すばる」などの文芸誌や新聞・雑誌での執筆活動を軸に、J-WAVEでのラジオ番組や燃やすとレモンの香る詩集などの作品を発表。朗読やギャラリーや美術館でのインスタレーション展示など、幅広く詩を表現。
日常の余白に言葉を重ね、想像の世界をひらく詩人・菅原敏さん。 彼のらしさの素をつくる詩と、ともに語られる食事の記憶。
ひとひらの朝たったひとり明けきらぬ朝の庭で花びらをむしってパンに挟んで食べていた男の気持ちがわかるようになってしまった頃から食べることの意味が少し変わってしまった 台所にまだ灯りはつけない換気扇は止ま
むかし海だった店干上がってしまった海を借り受けた夫婦がいた長く閉じていたシャッターを開けると何匹かの蟹が飛び出してきて商店街の隙間へと逃げ込んでいったこの店はかつては海だったので砂つぶ 貝殻 すべやか
スープを飲む理由雷のような音でバゲットをひきちぎりスプーンひとさじ分の透明ささえ なくしたときには過去と未来を切り分けてすべての願いを染み込ませるこんな日でも夜はやさしく互いに隠していた罪を 許し合え
遠い食卓今から一番遠い食卓はどれほど前の食卓だろうまだ言葉を持たなかった私たちはそれでも祈りに似た何かを捧げたのだろうか壁画に何かを描いたのだろうか明日は自分が誰かの一部になるかもしれない背中に大きな
十二月遠い国から運ばれてきた大きな樹に吊るされるのは決まってこの街の男たちだったタキシードにエナメルの靴 蝶ネクタイに撫で付けた髪トナカイのソリに乗せられて次から次へと首根っこを掴まれて きらきら木々
冷蔵庫に耳をすます彼女が考えていたことがたくさんあの冷たい箱の中に入っていた暗闇の中で銀の器に注がれた真っ白なブランマンジェも苺の入った小瓶の横でたくさんのことを話していた私はこれでいいのでしょうかあ
おいしさってなんだろう?をテーマに
その人らしい"おいしさ"をもつ
筆者たちの連載をお届けしています。
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