「今年は一日に何かひとつは美しいものを見よう」などと話していた私たちは、日が暮れかける前に近所の公園へと急ぎ、富士山の見える場所まで足早に歩いた。一月の空、夕暮れまでのわずかな時間。暮れかけたかすかなオレンジに縁取られた富士山、やわらかな紺のグラデーション。なんとか日が沈む前に駆け込むような形で私たちはひとときベンチに腰掛け、遠い空と消えかけていく富士の輪郭を眺めていた。すると彼女は急に「この空の色のスープをつくる」と言い出した。あまり美味しそうには見えないと思ったけれど、こんな気まぐれは今に始まったことではないし、今年最初の私たちの食卓にそんなスープが置かれることはなんだか楽しそうに思えた。...