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道具を使う。というか、道具で遊ぶ楽しさ。

自然と、道具の扉

道具を使う。というか、道具で遊ぶ楽しさ。

はじめまして、竹下 充です。

出版社に勤めて編集者をしていますが、雑誌の制作以外にも、アパレルや雑貨の商品開発、イベント制作、ショップのディスプレーディレクション、ラジオの喋り手など、頼まれたことは引き受けてしまい、出来ないなりに「何でも屋」をやっています。今回も頼まれると断れず、連載がはじまります。どうぞよろしくお願いします。

「自然と道具の扉」というタイトルは、幼い頃から外で遊ぶことが好きで、動物や昆虫といった生き物と触れ合うことも大好きなこと、そして、釣りをしたり、山に入って山菜を収穫したり、栗や、筍、梅を採ってきたり、そんな時に使う道具も好きで、釣り道具はもちろん、鍬やナタ、竹カゴや、農機具なんて絶好の遊び道具だったこと、今の仕事もキャンプや、野外フェス、それにゴルフなど、自然の中で道具を使って遊ぶジャンルを取り上げていたりもするので、付けてみました。

タイトルを付けたものの、どんな内容になっていくのか、現段階では自分でも分かっていません。ただ、自分ならではの「オイシサノトビラ」ということで、美味しいモノを作る道具を探したり、美味しい自然に出かけたり、会いたかったり、知りたかったり、見たかったりするコトを中心に、取材をしたりしながら紹介していく予定です。

合わせてこの機会に、必然と増えてしまった自分自身のアウトドア道具の思い出も整理をしてみようと思います。
今回は自分のアウトドア道具の中で一番古くから使っているモノで、ランボーが持っていたような形状のサバイバルナイフです。確か購入したのは中学1年生くらい。友達と島に行って魚を釣ったり、採ったりして、それを食べてキャンプをしよう!!という話になり、その道中にある釣具屋で購入したナイフ。

釣具屋でナイフを見ていたらお店のおじさんから色々と説明を受け、「切れ味抜群、これ一本でなんでもできる!!」と、指でつまんだ新聞紙を空中でスパッと切って見せてくれました。その謳い文句にすっかりヤラれて、キャンプではランボーのようにナイフ一本でアウトドアの世界をやり過ごして、ワイルドに魚を捌いて、ナイフを使って食べる姿を想像して購入した。のですが、正直使い勝手が非常に悪く、魚は包丁、木はノコギリ、糸はハサミで切る方が断然使い勝手が良いことを知り、なんでもできるモノより、用途に合わせた道具がいかに良く出来ているのかを思い知らされる結果となりました。ただ、極限状態になったときはランボーのように助けてくれると信じて、今でもキャンプに出かけるときは必ず持って行きます。とはいえ極限状態になんてなりたくないですし、そもそも使いにくいので出番はほぼありません。今ではごく稀にステーキなどを無駄にこのナイフで切って食べてワイルドコスプレを楽しんでいますが、もはやインテリアのような存在です。

そんな一見すると無駄なモノなのですが、そのモノを使うより、そのモノで遊ぶことの方が楽しかったりするので、いまだに実用性とは関係ないところにあるモノの魅力に惹かれてしまいます。ひょっとすると自分の中のキャンプって、気に入って購入した道具を使うための手段なのかもしれません。なのでこれからも、問題を解決するための道具を購入するのではなく、道具を使って遊ぶために、買ってから使い方を考える、そんな買い物をしてしまいそうです。

わたしの素

自然の中で駆け回って遊んでいた、幼少期の食べ物の記憶で忘れられないのが、卵ご飯。(実家では卵かけご飯を、卵ご飯と呼んでおり、卵かけご飯 a.k.a. TKGという名であることを知ったのも随分大人になってからでした。なので、いまだに自分の中ではTGです。)

その卵ご飯は、祖父母が住む田舎の家に泊まった朝の用意から始まります。朝起きると、祖父が世話をしている養鶏場から産みたての卵をとってきます。産みたての卵は、まだ温かさが残っています。その卵を溶いて醤油を入れて、お茶碗に盛った熱々のご飯にかける。それを平らな皿にひっくり返して数分待つ。ご飯の熱で卵が半熟状態になったらそっと茶碗を外せば、中華屋で出てくるチャーハンのようなこんもりとしたフォルムの黄色いご飯の出来上がり。ついでに、仕上げの醤油をほんの数滴垂らして食べると、醤油の濃いところと薄いところのムラが出て、味の強弱も楽しめ、さらに美味しさアップ。

今でも朝食に卵ご飯をかなりの頻度で食べているのですが、朝の慌しい時間に追われ、すっかりそんなひと手間かけて食べることなどなくなっていました。が、この企画のお陰で久しぶりに茶碗をひっくり返した卵ご飯を食べみました、やはり美味しいですね。もしチャレンジしてみる方がいらっしゃれば、卵は前日から冷蔵庫から出し、常温に戻しておくことをオススメします。

そんな卵ご飯、キャンプの時も手軽に食べられるので、ちょっとしたスパイスを追加したり、調味料で味変を楽しんだりしながら頂ける、簡単で大好きなメニューです。

連載

自然と、道具の扉

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