今庄つるし柿
今庄つるし柿
南越前町

今庄つるし柿

今庄に450年以上前から伝わるつるし柿を守り続けている長谷川さん。もともと会社員だった長谷川さんに作り方を教えたのは、何十年も柿をむいてきた地元のおばちゃんたちだった。

いぶして作るつるし柿

皮をむいた柿を縄に下げ、煙でいぶして仕上げる。450年以上前から今庄に伝わる、日本で唯一の作り方だという。長谷川さんたちは今も、昔からの作り方をそのまま守っている。

オイシサノトビラ
今庄のつるし柿は、ほかの干し柿と何が違うんですか。

 

長谷川さん
つるし柿も、干し柿のひとつなんです。干し柿は日本にいっぱいあるけど、今庄で作っているのは、干すときに煙を当てながら作る。450年以上前から伝わってきた、日本で唯一の作り方です。
なんでそんな作り方になったかっていうと、干し柿を作るのは、10月に入ってから12月の頭ぐらいまで。今庄は、その時期に雨が降ったり、曇ったりするんです。カビを防ぎ保存性を高めるために、こうしたらどうかっていうことで、煙を当てる作り方が広まっていったんです。

 

オイシサノトビラ
今庄の柿には、どんな特徴があるんですか。

 

長谷川さん
今庄の柿の木は、ものすごく高く伸びるんです。もう15メートルも20メートルも。普通、果樹っていうと横に広げるんですよ。今庄は昔、豪雪地帯でね。横に広げると、雪の重みで枝が折れちゃう。それで、上に伸びる木が残ってきたんです。取るときは、二段に伸びるはしごに足をかけて上に行って、竹の竿に柿の枝を掛けて、ポキッと折るんです。

 

オイシサノトビラ
採ったあと、できあがるまでの流れを教えてください。

 

長谷川さん
まず、柿を一個一個はかりにのせて、重さで選別します。大きいのと小さいのが混じってると、乾き方がそろわないんで。皮は、竹の道具で、薄くむきます。むいた柿を縄にぶら下げて、天日干しをしたら、炉に入れて、ケヤキやナラみたいな硬い木を燃やします。火の持ちがいいんです。大きいので6日から7日間ぐらい、いぶします。その途中で「種割り」をします。種を割るわけじゃないんやけど、食べた時に種がポロッと取れるように、柿をもむんです。この時期が難しくて、早いと破れちゃうし、遅いと硬くなりすぎる。乾燥が終わったら、70度以上の熱いお湯で洗います。いぶしたことで殺菌やカビ防止にもなってるんですけど、お湯で洗うことで、さらにカビを防ぐ。それをもう一回干して、大きく広げて形を整えたら、できあがりです。これが昔からの作り方です。

 

オイシサノトビラ
柿をいぶしている間は、どんなふうに過ごしているんですか。

 

長谷川さん
その頃は、事務所に泊まり込みです。テレビ見ながら、一杯飲みながら。スーパーで、おかずやつまみを買ってきてね。
そこで飲む一杯は、やっぱりおいしいですよ。

柿で、町を元気に

作業場は、山の中の一ノ瀬山荘。もとは重機を置いていた壁もない建物に、自分たちで床を張った。会社員だった長谷川さんが、知り合いの三浦さんと2人で〈杉休〉をはじめて、今年で10年目に入る。

オイシサノトビラ
つるし柿を作り続けているのは、どうしてですか。

長谷川さん
今庄には、でかい柿の木がいっぱいあるんですよ。昔はたくさん作ってました。だけど、作り手の人が年いったり、跡継ぎがいないということで、だんだんすたれてくるよね。木はあるのに、作る人がおらん。もったいないなって。だんだん寂れてくるし、この柿を作って、もうちょっと町を元気にしたくて、続けてるんです。

オイシサノトビラ
作り方は、どうやって覚えたんですか。

長谷川さん
作りはじめたときは、全部が全部は知らなかった。だけど、地元のおばちゃんが全部教えてくれた。何十年ってやってるベテランのおばちゃんに、いろんなことを教わってきました。

オイシサノトビラ
今も、おばちゃんたちと一緒に作っているんですか。

長谷川さん
忙しい時には、来てもらっています。昔から柿を作ってきた人も、まったく経験のない人もいる。そうやって、やり方が受け継がれていく。種割りも全部の柿にするんで、私ひとりでするなんて、できないですから。

オイシサノトビラ
作り方を次につなぐためにしていることはありますか。

長谷川さん
柿をぶら下げる縄も、昔はおばちゃんらが夜なべで作ってたんやけど、もう作る人がなかなかいない。それで、今庄つるし柿フェスタっちゅうのをはじめたんです。うちや振興会が集まって、柿を作る人を増やそうと。縄をなったり、編んだりする人も、フェスタで募集しています。今年で3回目。町とか県とかも、みんな応援してくれるんです。

一緒に作って、一緒に食べる

忙しい時期には、多いときで10人ほどのおばちゃんたちが手伝いに来る。その作業が終わると、待っているのはみんなで食卓を囲むご苦労さん会だった。

 

オイシサノトビラ
さいごに、長谷川さんがオイシサを感じる食事について教えてください。

 

長谷川さん
料理っちゅうんじゃなくて、ひとつひとつの料理じゃなくて、その雰囲気っちゅうんかね。
作業が終わった時に、地元のおばちゃんらとやったご苦労さん会。蕎麦も、自分らで打つんです。おばちゃんらが、蕎麦打ちに詳しいんよ。その蕎麦とか、きび団子とかを、一緒に食べる。
もう、みんな知ってる人ばっかしじゃない、 準備から片付けまで、全部みんな一緒にして。仕事の話をしたり、蕎麦の打ち方を教えてもらったりしてね。そうやって、みんなで食べたものがおいしかったそ、一番楽しかったよね。

 

連載

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