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おいしさって、なんだろう?

オイシサノトビラ

おいしさって、なんだろう?

──── edenworks主宰の篠崎恵美さんと「食事とお花」というテーマで一緒に何かできないかというお話をきっかけに、企画をはじめることとなりました。企画を進める中で、「おいしさ」とは何かという根源的な問いに、篠崎さんはご自身のお話とともに、食と人との繋がりを話してくれました。



オイシサノトビラ
「花と世界の扉」というテーマで連載してもらっています。はじめる前はどう思いましたか。

篠崎
オイシサノトビラでの連載がはじまる前までは、お花の作品に関すること以外で自身のことを表現することがあまりなかったので新たな挑戦にワクワクしました。お花の仕事をしている私にとって、食とのコラボは意外でしたが、異業種の掛け合わせによる化学反応が楽しみでした。

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篠崎さんが思う「おいしさ」は、どのようなものですか?

篠崎
おいしさは多様です。たとえば食事って高級レストランの食事のようなものから家庭のお母さんの手料理まで幅広いですよね。私にとってのおいしさは、気持ちがこもっているもの。仕事で疲れているときに食べる家庭料理や、旅先で出合った郷土料理などは、おいしさが体に沁み入る感じがします。私にとって、そういった食事は安心感を与えてくれるものです。

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篠崎さんのお話には、よく仲間と食事をしている風景が描かれていますね。

篠崎
そうですね。出張先で仕事が終わってからスタッフと一緒に食べるご飯を書いていることが多いです。何かを成し遂げたときのご飯は、いつもの何倍もおいしいし、それを人と共有することも、おいしさの一部なのかもしれない。異国の地で仕事をしながら、現地の家庭料理にホッとする瞬間が何度もありました。たとえば、シンガポールでの仕事終わりにスタッフと食べたチキンライスや、奄美大島で食べたお味噌汁定食。どちらもすごく特別なものではないけれど、その土地の人々が大切にしている味に触れることで、心が満たされます。

オイシサノトビラ
オイシサノトビラは味ではなくて、その人ならではの「おいしさ」を知りたいと思っています。

篠崎
わたしは誰と食べるかということも大事にしています。たまに、スタッフたちと気持ちを共有するために、一緒に季節のものを食べる催しをやっています。先日は、スタッフがつくってくれた桜餅や柑橘のパウンドケーキ、旬の山菜などを囲みました。
食事には、作り手の思いや、一緒に食べる人との関係性が詰まっていると思うんです。そこに、おいしさが宿るのかな。お料理が上手いとか下手とかではなく、下手でも心がこもっているものってありますよね。お母さんが「失敗しちゃった」といいながら出してくれる料理も好きです。私の母の甘めの卵焼きは、形がいびつでも懐かしさと安心感がある。真似しようとしても、同じにはできないですよね。お母さんが作るからおいしい。
お花もそれと同じで、高価だから良いというわけではなく、気持ちを込めることで良いクリエイションが生まれると思います。食を職業にしている人は見栄えを整えるかもしれないし、そこはお花の仕事と一緒の感性もあると思うけど、いびつな卵焼きのような独自の感性のものも、私は好きです。

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篠崎さんのおいしさは、食事の時間や共にした人の存在が「おいしさ」をつくるのですね。

篠崎
ストーリーを大切にしたいし、経験した出来事を共有したり伝えたいという思いがあります。私が仕事で目指したい形は、ちょうどベテランのお母さんが手料理をつくるようなものです。お花も生き物で、命に限りがあります。高価なお花で何かをつくって、枯れたから捨ててしまうというやり方よりも、捨てる前にどんなクリエイションができるのかを考えることを大事にしたいんです。食事を用意するお母さんは、いつもそういうことを考えているんですよね。いかに食材を無駄なく捨てずに、おいしいものをつくるか、というようなことを。

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篠崎さんが食事とお花を組み合わせて新しいアイデアを生み出すとしたら?

篠崎
わたしがもし手がけるとしたら、食事というよりも、食卓とお花というテーマで考えられたらと思います。食卓にお花って置きづらいですよね。でもお花があることでその食事からおいしさが生まれるきっかけのひとつになることができるのではないかとも思います。

わたしの作品を通じて、みなさんにもっと花を知ってもらいたいという気持ちがあります。食事という新しいテーマで、お花を知ってもらうきっかけづくりができればいいですね。

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「食卓とお花」というテーマから生まれる作品、楽しみです。

 

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