ラーメンに求める機能性と、機能美が大切なアウトドア道具。
アウトドア界隈では有名な話ですが、新潟県・燕三条はアウトドアメーカーのメッカです。スノーピーク、キャプテンスタッグ、ユニフレームなど、きっと皆さんも一度は耳にしたことがあるアウトドアメーカーの本社が集結しています。
なぜアウトドアメーカーが燕三条に集まっているかというと、小学生の頃、社会の授業で習った記憶がある方もいるかもしれませんが、この地域は古くから地場産業として金属加工業が栄えてきたことが要因だそうです。その高度な加工技術を生かして、多くのアウトドアギアメーカーが誕生したというバックボーンがあります。世界でも有数の加工技術があるからこそ、過酷なアウトドア環境でも安全かつ快適に使える道具が次々と生み出されていることに納得です。
そして、そんな燕三条のもう一つの顔が「食」です。
日本海に近い立地ということもあり、新鮮な海の幸が豊富で旨い。そして新潟といえば米。旨い米があり、その米から造られる日本酒も旨い。さらにカレーラーメン、タレカツ丼など、名物メニューが渋滞するほどあります。
その中でも注目したいのが「燕背脂ラーメン」です。カレーラーメンと燕背脂ラーメンという2種類のラーメンが名物になっているなんて、ラーメン好きにはたまらない町ですよね。
全国のラーメン店で「背脂チャッチャ系」として親しまれている背脂ラーメンですが、燕三条の背脂ラーメンは、煮干しが香る濃口醤油スープに、丼を埋め尽くすほどの豚の背脂、そしてうどんのような極太麺が特徴です。パンチのある一杯ですが、実はその背景には金属加工の町としての歴史が深く関わっているんです。
昭和初期から、燕市には多くの工場があり、職人たちは毎日汗を流して働いていました。仕事は体力勝負。当然、塩分を欲します。さらに、出前でラーメンを頼んでも、工場に届く頃にはスープが冷め、麺が伸びてしまうという悩みがありました。その要望に応える形で、一人の中国出身の料理人が考案したのが、このラーメンの原型だといわれています。
・麺が伸びにくいように → 極太麺に。
・汗をかく職人のために → 味を濃く。
・スープが冷めないように → 表面に豚の背脂を浮かべる。
すべては職人たちのための工夫。その熱い思いから生まれた一杯が燕背脂ラーメンなのです。単なるご当地グルメではなく、町の歴史そのものを味わっているような、そんな感慨深さがあります。
味はもちろんですが、「機能性」が重要視されているところが、金属加工から生まれるアウトドアギアとも重なります。機能美ならぬ「機能味」とでもいうのでしょうか。
さらに以前訪れたラーメン店では、器まで金属というこだわりっぷり! 見た目も味も背景も、すべてが燕三条。もはやラーメンギアと呼びたくなる一杯でした。

ちなみに三条市役所の一室は、燕背脂ラーメンとともに育ってきたアウトドアメーカーのアイテムをふんだんに使った、まるでキャンプ場のような空間になっています。職員同士がリラックスして交流したり、休憩したりするスペースとして活用されているそうです。食も産業も行政も、それぞれが密接につながっているからこそ生まれるグルーヴ感。それこそが燕三条という町の大きな魅力なのだと思います。


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