──── デンマーク・コペンハーゲンを訪れたときの話。
今回初めてコペンハーゲンに行ったのは、予定があったわけではなくて。パリに予定があって、その流れで前から行ってみたかったから、立ち寄った。
コペンハーゲンの街は、窮屈な感じがしない。もちろん街中だから建物はあるけれど、自転車の専用道路もあるくらい道が広くて、空も広く見えた。自転車にも乗ったのだけど、開放感でとても気持ちよかった。
飲食店も、続いていくことをテーマにしているなと感じた。食材は、仕入れるということよりもお店が育てたハーブや野菜を使ったり、自分でできること、そしてそれは一時的なものではなく続けていけるシステムにすることを考えていて、とても素敵だなって。
野菜は誰がどう育てているのか、農薬が使われてるかは、通常ではお客様の目には見えないことが多い。でも、お店が自分たちで育てると透明性があって、すごく安心する。 これから、日本は少子化だけど世界では人口が増えつづけて、食べものが少なくなると言われている。そんな中、自給自足ではないけど、コペンハーゲンでは自分たちで育てたもの、そして調理したものを提供し、続けていくことに目を向けている。
日本でいう自給自足って、人里離れた山の中での印象が強いと思うけれど、コペンハーゲンで暮らす人々は、誰もがその考えを持っている。飲食店では材料を卸業者から仕入れればいいっていう考えではなく、なるべくお店の庭で育てたハーブや野菜を採れたてで使うことをしていた。例えば果物の花がその果物の味がすることがわかるように、よりフレッシュでとてもみずみずしく、何よりも生きている味がしたんだ。
自分たちでその育てるシステムを作り、続いて行けることを考えるいることは、素晴らしい発想だ。
教えられたことではなく自己流で研究して、続けていけるシステムをつくり、レシピをつくり、それを責任を持って提供することに心から共感した。私も師匠がいなくて、今まで自己流でお花と向き合ってきたから、すごく感動したの。
──── new nordic cuisine 「新北欧料理」
生き物を大切にし、植物や動物の生態系を守ること
自給自足を基本としローカルの食材を使うこと
食料廃棄の問題に目を向けて、
持続性のある社会を目指している。
自然環境が厳しく食とは無縁とされてきた北欧で、2000年代前半に生まれた食文化。コペンハーゲンのレストラン「noma」のシェフ、レネ・レゼピ氏が提唱。20年以上経ち、人々に息づいているのだと篠崎さんは感じた。
お花の仕事してると、地球の変化を感じることが多い。市場に行くと、最近見かけないなと思うお花とかもあって、聞くと絶滅してしまったとか、育たなくなったとか。また、色の変化もあるの。このお花、こんな色だったかなとか。日本の四季も乱されていく中で、お花は生き物だから環境に応じて、素直に変化してしまうもの。
わたしは時々、地球があとどのくらい継続するのかを考えてしまって落ち込むことがある。でも同時に、身が引き締まる思いを感じている。植物がキーパーソンになるって思うから。
植物は、人間よりも先に地球上に存在していて、地球の環境を整えてくれていた。そこをコンクリートで埋め立ててビルを立てたり、(無理な)森林伐採とかで地球環境が悪化することは、植物とのバランス関係が大きく影響していると思うの。
だから、植物に関する仕事は、今後なくてはならない仕事だって考えている。植物は見てるだけで癒される存在なのだけれど、よりクリエイティブに、よりポジティブに見せることで、たくさんの人に植物の大切さを知ってもらったり、子どもたちに伝えていくっていうことがわたしの役割だと思ってる。植物を愛でるということも大切だけど、続けていけるかっていうこともわたしにとって同じくらい大切。だから、植物を食べることや、それを食べて人が健康になるということにもとても興味がある。
コペンハーゲンに行って、植物と共に生きていく、続けていくという印象が強く残った。そして、食の大切さを、改めてすごく実感した。
わたしの素
植物とお花の仕事をしているわたしがコペンハーゲンで感じたことは、植物が食べものとつながっているということ。それは、ただ野菜を育てて食べようっていう話ではなくて、野菜の花はその野菜の味がしたり、食べられるお花を使って見た目も素敵にしたり、食を更にクリエイティブにしているっていうのも好きだなって感じた。
お花って、一本一本でもとても綺麗だけど、たくさん集まることでより生命力を感じる、強い存在になると思う。わたしはそう感じてもらえるようなクリエイションをしたいと思っている。見た目が素敵でないと、伝えたいことを伝えることができないから。コペンハーゲンでは自分で育てたものを食べるということ、食までクリエイティブに落とし込んでるのが素敵だなと思った。食の豊かさと地球へのやさしさって、いまは直結してないけど、自分にしかできないクリエイションを加えることで、豊かさとやさしさをつなげることがしたい。
見た目も美しくて、楽しくて、食べておいしい、地球にもやさしいって、なんて素敵な世界なんだろうって。