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どんなことも、できるだけ笑って向き合う。

花と世界の扉

どんなことも、できるだけ笑って向き合う。

──── 「花と世界の扉」は、edenworks(エデンワークス)主宰の篠崎恵美さんが、日本や世界各地をまわる中で、彼女の素となった経験や食事についてお届けしていく扉。花と食事、すぐには結びつかなそうなことだと感じるが、ここ数年で彼女は同じことと考えるようになった。彼女が自身の扉を「花と世界の扉」と名付けたきっかけ、これからお届けしていくテーマへの想いについて聞いた。

 

いま必要と感じたことを届けていきたい。

「コロナの時期、目に見えないウイルスに多くの人が脅かされましたよね。人と会うことを控え、呼吸をすることすら気にしてしまうような日々でした。その時に実感したのは、感染しなかったり感染しても元気に戻れたりしたのは、身体が免疫をつくってくれていたからということ。身体をつくる食物のことに、これまでよりも関心を持つようになり、わたしが仕事としているお花と同じ植物だということを改めて意識するようになりました」。
 

「お花一筋でやってきましたが、おなじ植物なのであれば、口に入れる食事についても考えていきたいと思ったんです。これからは、お花はもちろん食べ物も含めて植物の可能性を引き出しクリエイションしたものを届けていくことで、人や世の中に役に立ちたいと考えています」。

世界の花とごはんを、もっと知りたい。

彼女がいま気になっていることは、お花の「ルーツ」だと話す。「いろいろな国のお花が、日本に運ばれてきています。市場でそれらが出会うのですが、そのお花たちにも、元の植物がありますよね。お花はその土地で切って日本に届いているので、根っこの部分はその土地に行かないとわからないんです。その土地の空気感とか、気温とか」。

「ごはんも、お花と一緒だと思っています。その土地のごはんを食べることは、その国を知る上で必要なこと」と考えるようになったという。

「原点という言い方が正しいのかは分からないのですが、その国その土地のごはんを巡る旅をしたいと考えています。日本にいても、さまざまな国のごはんを食べることはできますが、その国で作られたごはんを食べて根っこの部分を感じて、その国のお花や植物に触れて、その経験をみんなに届けていきたいと思っています」。 

さまざまな国のお花、その土地のごはんと出会うこと。彼女のいまのテーマのひとつだ。

生き物だから、予期せぬこともたくさんある。

ある図書館で開催されたedenworksのインスタレーション「Now / Then, Present いまとそれから。プレゼント」。
「インスタレーションで使う花は、花屋の営業で売れ残ってしまった花、花農家さんから市場に出回らない短い花、曲がってしまっている花など、本来は捨てられてしまうはずだったものがほとんど」で制作されている。約3週間後、ドライフラワーになった花たちは彼女のインスタレーションらしく、会期終了後に来場した人たちへ手渡されていた。


6,000本以上のお花からなるインスタレーション。関係者へのプレゼンテーションは、特に気をつかうと話す。
「いざ現地に行って制作しようとすると、一筋縄ではいきません。お花だから。生き物だから。予期せぬこともたくさんあるけど、そこも楽しめないと。こうじゃなきゃだめっていう感覚ではいられないですよね」と微笑んだ。

難しいことだとしても、できるだけ笑って向き合う。花のように。

わたしの素

彼女が一番はじめに開いたフラワーショップ「edenworks bedroom(エデンワークス ベッドルーム)」の名前の由来を「人の一日のはじまりとおわりの場所、そして死に向かう生花にとってもはじまりの場所ということもあって、ベッドルームと名前をつけました」と話し、「"はじまり"というのは、わたしが持っているひとつのテーマ」だ。

そんな彼女らしさをつくる素は、朝ごはん。
どこの国に行っても「朝ごはんは、楽しみのひとつ」と思っている。


「お母さんがつくってくれた朝ごはんは、私自身がつくられたひとつのルーツだと思います。お花も食事も、誰かを思いイメージして作るものなら、そこを突き詰めたい」と考えている。
彼女がクリエイションした朝ごはんを、楽しみに待ちたい。

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