コンテンツへスキップ

カート

カートが空です

人生のやることリスト。

人生のやることリスト。

──── すこし暖かくなってきた時のこと。在原さんから、久しぶりに旅行に行ってきたという話を聞いた。話をしてくれたのは、友だちとの旅行の話。

 

旅行って…

多くの人にとって旅行は楽しみなはずにもかかわらず、旅行が苦手という友だちがいた。その理由を聞くとすこし共感するところがあったという。
「友だちと集まっていた時に旅行するという話をしたら、『旅行って、たとえば温泉に行って癒やされに行ったつもりなのに、帰りに現実に引き戻される感じが余計につかれちゃう。だから、お休みしたり、癒やされに行ったり、息抜きに行くのが苦手なんだよね』って言われて。わたしは、そこまでは思わないんですけど、すこし気持ちがわかるなって」。

なぜそう思うのかについて聞くと、彼女自身の性格を交えて教えてくれた。
「わたしは楽しみなことだったとしても、すぐにタスク化してしまう傾向があるんです。例えば、友だちとのご飯の予定など楽しみなことなのに、それに向けて準備や支度をしなきゃって。予定の直前になると、たまにあれ?これは楽しみなことなのかなって」。

今回話をしてくれた旅行でも、タイヤをスタッドレスに替えたり、行き方を調べたりと、タスクになってしまったことがあったということですね。
「といっても、行くとやっぱり楽しいんですよね。旅行先でこんなに自分は自由でいいんだっけ?と思っていました。運転中とかも。わたしが運転している間、助手席で友だちが爆睡していても、一人きりのような空間で自分の好きな音楽を流してみたり。最高すぎました。友だちが寝ていても、まったく気にならないくらいでした」。

大学在学時に“コロナ”の期間だったことから、彼女らは夏休みにも旅行できず卒業旅行すらも控えなければならない時期を過ごした世代だ。

旅先の決め方

「これまで自分が行きたい場所ができたり、温泉に行きたいなと思ったら友だちを誘ったりするよりも、家族で行くことが多かった」。

友だちとの旅行よりも家族旅行の経験が多く、仕事が忙しくなってからはなかなか旅行に行く機会がなかったという。今回の行き先はどのように決めましたか?
「出かける時や旅行や友だちと遊ぶ時って目的があると思うんですけど、わたしは何かを食べるために目的地に行くっていうことが多い。これ、今回の気づきでした。振り返るといつもわたしはまず、『何を食べるか』を決めてから出かけるところを決めていたんだな、と。それを食べに行くからその流れでこのお店に行くとか、一番のメインがほんと食だなということに気づきました。とにかく、何を食べる?という話しか出てこなかったんです」。

今回の旅行先も、食べるものから決めたんですか?
「どこに行こうかってなったときに、すぐ思い浮かんだのが福島。福島の“クリームボックスを食べたい”っていうこと。郡山市のご当地パンで、その“クリームボックス”を食べるために、東京から片道四時間かけて行ったんです。福島に着いたときは、ついに来たんだ!って、やり遂げた感がすごかった」。

食事がメインになってしまうと言いつつも、福島旅行は充実していたようだ。

「旅行中はこんなに自由な日があっていいんだっていうのをすごく感じて、めちゃくちゃよかったです。そう、開放感みたいな感じ。サービスエリアに寄ってご飯を食べようとなった時も、お互い一緒のものを食べるとかでなく、それぞれが好きなものを食べる、みたいな。友だちはラーメンを食べていたけど、わたしはパンでしたし…本当に自由」。

すこし変わった価値観

「わたしは、毎日三食をきちんと食べる派ですが、旅行先では五食でもいいという気分になれたし、何時にご飯をスタートしてもいいんだな、と思うこともできました」。

「朝ラーメンをしたり、サービスエリアや地元のお店での食べ歩きをしたりする中で、ちょっと罪悪感もありながらも、別にそういう柔軟な自分でもいいんだなと感じました。これまで自分で自分を生きづらくしていたのかもしれないなって。いつもの規則正しい生活ももちろん大事。でも、それを崩しても許されるのも、旅行だなって」。

「ふだんだったら、会津の喜多方ラーメンじゃなかったら、朝ラーメンは絶対にしない。朝食べたことで、自分がこれまで持っていた概念を壊せた感じがありました。そっか、食ひっくるめて、もうちょっと自由でいいんだなと思えたんです。これまで謎に“ベジファースト”にこだわり続けていたり、朝イチでラーメンを食べるという考えすらなかったです」。

「旅先から帰ってきてからは、思考的には自由になりましたね。食とか、生活リズムとか自分の中のライフサイクルに、すこし余白をつくろうと思いました。余白があることでもっと楽しめるようになることもあるんだなと感じたんです。喜多方ラーメンにも感謝しているし、そういう文化を生んでくれた福島の方々にも感謝です」。

ふだんの生活の中でやることをすべてタスク化して決めるのではなく、すこし余白を持つ。余白があることで、自分がもう少し動きやすくなったり、心に余裕が生まれたりする。
今回の旅行では、チカラの抜き方を知った。

わたしの素

「実は、福島の旅行では、わたしの人生のやることリストみたいなのを一個達成したみたいな気持ちなんです。もちろん、楽しかったということもあるのですが、ひとつやりきった!みたいな気持ち」。

「やることリストに入れたのは、大学生の時。母が福島のお土産で"クリームボックスケーキ"を買ってきてくれたんです。"クリームボックスケーキ"は日持ちがするお土産用に作られたもので、オリジナルは日持ちのしない"クリームボックス"というパンであることを調べて知って。お土産用の"クリームボックスケーキ"がものすごく美味しくて。それ以来、現地でしか手に入らないパンの"クリームボックス"をいつか食べたいな、とずっと思っていました」。

「自分の好きな食べ物を誰かに話すとき、福島の"クリームボックス"と言いたくても、オリジナルを食べたことがないので言えませんでした。でも、これからは胸を張って言えます。今回の旅行で食べたし。やっぱり、おいしかった!って、胸を張って言えるようになりました」。

食から決めた行き先で、人生のやることリストのひとつ“クリームボックスを食べる”を達成した。
食事が大好きな彼女のやることリストには、食のやることリストがどれだけあるのだろう。リストを覗いてみたいと思った。

人と時間の扉 アンバサダー

記事一覧

おすすめ記事

イタリア撮影とその記憶。

イタリア撮影とその記憶。

眠くても、忙しくても、好きなこと。

眠くても、忙しくても、好きなこと。

思い出の生まれかた。

思い出の生まれかた。

領収書の観察

領収書の観察

物語はつねに自分の外側に。

物語はつねに自分の外側に。