

──── 25年は、フラワーアーティスト篠崎恵美さんが”edenworks bedroom”を開いて10周年を迎える節目の年。篠崎さんから想いのこもったメッセージが届きました。
今年は、私が初めて開いたお花屋さんが10年を迎える節目の年です。10年の間に世の中や社会が大きく変わりましたが、"お花を手にする人やお花を想う"という私の信念は、10年前と何も変わっていません。
振り返ると、ここ数年はめまぐるしく移動をし、あっという間に時間が過ぎていきました。国内は北海道、栃木、京都、奄美大島や宮古島・・・、海外はデンマーク、イタリア、カタール、アメリカ、シンガポール、香港・・・多くの国に足を運び、暮らしの中にお花や植物があることで気持ちが豊かになることを感じてもらう活動や、紙の花の作品を発表するなど、たくさんのアウトプットをしてきました。
今年も、来月の2月20日から代官山のギャラリーで展覧会を控えています。
タイトルは「Gathering」
「Gathering」とは、集まりとか集合体という意味がある英単語ですが、去年の末に浮かんだ言葉でした。
Gatherings inevitably dissolve, as they are formed by individuals.
集まりはやがて、分離する。それは個であるから、それぞれを生きる。
慌ただしい毎日の中で、ふと自然に目を向けた時に感じた気持ちを大事にしています。
自然は、いろんな植物が自由に生きていて、お花が枯れて葉が落ちて新しい芽が出たり、蕾ができてまたお花が咲いたり、弱いお花が強いお花に負けてしまったり。さまざまな性質の植物たちが、自然の摂理の中に集合体として存在しているけれど、一つひとつは別の生き物であるということ忘れたくないなぁと思いました。

人は生まれてからずっと、何かに属して生きていると思う。家族、学校、職場、友達、社会。でも、"ひとりひとり"であることは忘れたくない。それは、花のガーデンが私に教えてくれた。今回の展示では、その忘れてしまうくらい当たり前になっていることを改めて提示して、紙の花の作品を通して伝えたいと思いました。
楽しさとか幸せには、悲しさも含まれているように感じています。表裏一体という言い方がいいかは分かりませんが、どちらも含んでいる。お花が可愛いだけでなく、枯れてしまうということふまえて、見てくれる人に今の瞬間を感じてもらえると嬉しいです。だから、終わりがあることをも含んで、作品をつくっていきたいと思っています。
今年はどんな一年にしよう。
毎年のことですが、"何事にもていねいに"と抱負を立てています。"挨拶をていねいにしたい、会いたい人に会いたい、季節を大切に感じたい、時間をかけて人と話したい"。自分が考えていることを伝えたり、人が考えることを聞いたり知ったり、人との繋がりを深めたいと考えています。
わたしの素
今年は、edenworksの仲間と一緒に食事する機会をできるだけつくりたいと思っています。
仲間との食事の際は、みんなでメニューや盛り付けを考えていきます。テーマを決めて料理をすることは、私たちの楽しみのひとつ。普段から花束やアレンジメントなど、バランス感覚を使いながらお仕事をしているので、見た目にも自然とこだわりが生まれてきます。
何を食べるということもですが、誰と食べるということも大事にしていきたいですね。
私たちの暮らしは、植物の存在は必要不可欠であり、酸素を作り出す植物なしでは生きていくことができません。食べ物も、植物。季節の果物や野菜を囲んで、みんなで調理して、それぞれのおいしいを共有し合えるのは、とても素晴らしいGatheringの輪です。このオイシサノトビラでも、友人や会いたい人たちと会って、生き方や考え方などさまざまなことを聞いて、暮らしに役立てたり、みなさんにもお届けしていきたいですね。それぞれの"オイシサの話"とともに。