──── 篠崎さんは、ロサンゼルスで日本の現代美術を紹介するギャラリーに所属している。昨年開催された展示"Now/Then"でインスタレーションに使用した生花を、ドライフラワーして捨てずに活かす創作活動をしたという。花と人とのつながりを通して、想いと想いのつながりも創る。篠崎さんならではの活動について、話を聞いた。
「ロサンゼルスのギャラリーで展覧会を開催したのは、昨年の9月。紙のお花の作品とローカルの生花を用いたインスタレーションは、ドライフラワーになり、展覧会終了後も捨てずにギャラリーに保管してもらっていたんです。一年の時を経て今年、ポプリをつくることにしました。今回はそのために、ロサンゼルスに行ってきたのはそのため。edenworksのドライフラワーを扱っているEW.Pharmacyでは、調合した精油で独自に香りをつけたポプリを販売しているけれど、海外での創作は今回がはじめて。わたしがこのような取り組みを行う背景には、花を捨てずクリエイションのチカラで新しい価値にして世の中に提供したいという想いがある。その想いを共有するために、インスタレーションで使用した花を使ってワークショップを行ったり、お客さんにギフトとして配ったりしています」
所属しているギャラリーとはいえ、海外で篠崎さんが考えている想いを共有するのはとても難しいことだと思うのですが、いかがでしょうか。
「たしかに採算性を考えたりするとすごく非効率だから、想いを理解してもらわないと実現は難しいと思います。でも今回は、わたしの花に対する取り組みを理解してくれたギャラリー側から、ロサンゼルスでも花でポプリをつくりたいと言ってくれたんです。同じ想いを共有できる仲間たちと一緒にポプリをつくることができたのは、とてもとてもうれしかった」
「これからも、日本だけでなく海外でもこのような取り組みを続けていきたいと考えています。こうした活動や意志に意味を感じてくれたり、その想いを共有できたりしていくことが重要だと考えていて。edenworksを立ち上げた2009年からずっと変わらない理念で取り組んでいるのだけど、やっとここ最近、理解してもらえたり協力してもらえたりできるようになってきたと感じてる。もっと同じ気持ちで取り組んでくれる人たちが増えたらいいなと思うし、そのためにこれからも続けていきたいと思う」
今回のロサンゼルスでは、ギャラリーで作品づくりをしただけでなく、立ち寄った場所があるんですよね。3月には行けなかった場所に今回は行くことができたのでしょうか。
※3月に行けなかった場所の話「奇跡の花畑」はコチラ
「3月は天候の影響でたどり着けなかったセコイア国立公園。ずっと見たい(会いたい)と思っていた大きな木があって。その場所に、今回もトライした。そして、やっと目にすることができました」
「実際に見ることができたその木は、わたしの想像を遥かに超える大きさで、その存在感にただただ圧倒されてしまった。自然の力強さと壮大さを実感しました。
レッドウッドという赤い色の杉針葉樹もあって、その木に触れると木の生きているあたたかさが伝わってきた。心から安心するような感覚だった。何千年もの時間を経て、自然の中で生き続けてきたのだと思うと、その存在に敬意を感じずにはいられませんでした」
「そして、セコイヤ国立公園から少し車を走らせた場所に、見晴らしのよいドームロックという名前の丸い石にも出合いました。その形は、まるで自然がつくり出したアートみたいで、自然の創造力と無限の可能性を感じた。高台に登って見渡した風景は、絵と見間違えるくらいで、言葉にするのが難しいほど美しかった。その風景を感じて自然の中に身を置くことの素晴らしさとか、自然と共に生きることの大切さを改めて感じました」
セコイア国立公園での体験を、写真を見せてもらいつつ話をしてくれた。篠崎さんにとってなにか大きなきっかけになったのかもしれないと感じるほど、想いが伝わってきた。
わたしの素
「ロスに行くといつも楽しみにしているお店があって。それはタコスのお店。日本にいるときは、あまり食べる機会がないから、ロスに来るとタコスを食べたくなるのもあるかもしれないけど、必ず食べてると思う。よく行くお店に"sampler"というメニューがあって、さまざまな種類のタコスがお試しできるのがお気に入り。プレートに小さめのサイズでたくさんのってるから、楽しい気持ちにもしてくれる。あと、お米の研ぎ汁(?)とミルクとシロップの飲み物でオルチャータ(Horchata)というメキシコのジュースも大好き。友だちからコーヒーを入れるのもオススメされてからは、タコスを食べるときに欠かさずに頼んでしまう。ソウルフードというと違うかもしれないけれど…。ただの食事じゃなくて、ひとつの体験みたいな感じなんだよね」