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杉本学子さんへのインタビュー「スタイリストの仕事、そして“食”の夢」【後編】

杉本学子さんへのインタビュー「スタイリストの仕事、そして“食”の夢」【後編】

──── なぜスタイリストになったのか?という質問から映像の現場での食事の重要性、素敵な暮らしについて、とどんどん展開していったスタイリスト杉本学子さんインタビューの後編。

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杉本
私は人生にトキメキを持ちたい。こんまりさんみたいなこと言ってるけど(笑)

佐野
いや、大事なことですよ!この前渋谷駅のマークシティのエスカレーターを降りていたとき、大学生くらいの女の子が10人ぐらいいたんですけど、その女の子がみんなほぼ同じ髪型してて、前髪のあるなしぐらいの違いしかなかったんですよ。服もあるパターンの組み合わせ違いに見えて、これは見分けられる自信がないなと。自分自身の加齢もあるんですけどね。

杉本
本当にそうなんです。個性がない、というのともまた違うような気もするんですけど、どこのセレクトショップ行っても売れ筋が同じで。昔はセレクトショップの色がそれぞれあったのに、売れないとかリスクもあるから、売れる筋のものがどこも同じように並んでて。ドラマとか映画とか見ていても、同じように思ってしまう事もありますよね。

佐野
そうですね。それは時代の反映でもあるだろうし、さっき話したような映像業界全体が貧しくなってるっていうこともあると思いますね。食事シーンもやっぱりそこまで力を入れる余裕がない、というのもありますしね。
ちょっと脱線してしまいましたが、やっぱり衣食住の全部が関連し合ってるから、洋服の仕事をしてた人が食の世界に興味を持ってそちらに行くのはわかる気がします。
例えばスタイリストの方で、服が大好きでとてもこだわっているけど、食事はどうでもいい、っていうタイプの人っていますか?

杉本
雑誌を中心に活動されている方は、食にも物にもこだわる人が多いですね。体が資本だからちゃんとしたものを食べるし。

佐野
自炊はするんですか?

杉本
自炊は少ない方ですね。現場にいる時間が長いので、なかなか難しくて。
私は食べるものにはこだわるけど、食いしん坊じゃないんです。毎日、あれを食べたい、これを食べたい、とかじゃなくて、自分が気に入ったものをルーティーンで食べるのが好きなんです。

佐野
なるほど。「食へのこだわり」と一言でいってもいろいろなタイプがありますね。

杉本
私は新しいお店をチェックはしますが、基本的にはいつも、好きなお店があってそこにルーティーンで行く。実は服も同じで、好きなものが決まったら色違いで何枚か買う、みたいな。でもそうじゃなくて、シーズンごとにクローゼットを全部変えたいって人もいるし、そういう人は毎回いろんなレストランに行ってるなと思うし、繋がってますよね。

佐野
仕事の仕方も服の選び方も食事の仕方もリンクしてますね。雑誌やCMの現場にいる友人のインスタを見ると、いつも新しい美味しそうなお弁当とかケータリングとか、新しいレストランとか載っててすごいなあと思います。でもそもそも連ドラの仕事をしてると、スケジュールがコロコロ変わるしも先の予約ができないですしね。

杉本
どうしても決まった店になっちゃうし、私の場合は朝ご飯も決まってるし、海外行くとまた違うんですけど、無駄な食事はしたくない。カロリーを取るだけ、お腹を満たすだけの食事は絶対しないと決めてるんです。

佐野
今海外でのお仕事も多いじゃないですか?海外での食事で記憶に残っているものはどんなものですか?

杉本
海外だと新しいものにどんどんチャレンジしてます。最近だと、ストックホルムに行ったときに行ったレストランが、日本の懐石料理みたいなコースだったんですけど、普通のお野菜だけでもめちゃくちゃ美味しかったんですよ。
あとはニュージーランドもすごく良かったです。ご飯も色々選択肢があって全然飽きないし、体に良いもの、という意識も高いし。あと普通に街で飲むコーヒーが美味しい。もちろんアレルギー対応もちゃんとしてるし。生野菜も本当に美味しくて感動しました。

佐野
海外に行くと野菜が量り売りで買えて、形が悪くても大きさが違っても買えるじゃないですか。日本は同じサイズで揃えて形が悪いものは避けて袋に入れて売るのが基本だから、作り方も変わってきますよね。
ちなみに、日本での普段のルーティンは、外食でも自炊でも、どんなものを普段食べてるんですか?

杉本
普段、朝は必ずかまど炊きの炊飯器でご飯を炊いて、お昼のおにぎりを作るのが好きです。朝がそんなに早くなかったらそこでご飯を食べて、必ずバナナスムージーを作るんです。

佐野
ちゃんとしてる・・・

杉本
完熟したバナナを凍らせてあるものと、オーツミルクときな粉とか、漢方とかを入れてスムージーを作るのがルーティン。どんなに朝が早くても、それが飲みたくて起きるぐらい。

佐野
スタイリストさんの朝は本当に早いですからね、4時とかに起きますよね。

杉本
朝は早いですね。で、お昼は現場がなかったらおにぎりを食べて、夜はそのときによりますが、友人とか家族と、好きなレストランにルーティンで行ってます。

佐野
そういえば最近学子さんがインスタでOOTDを上げてくれてるじゃないんですか。とってもかわいくて、毎日やってほしいんですが、どうして始めたんですか?

杉本
もっとオープンな自分になりたいなと思って・・・

佐野
これまでは、SNSで仕事に関する発信はするけど、自分自身のことはあまり発信していなかった気がするんですが、それは裏方だからっていう意識が強くあったからなんですか?

杉本
そうですね、もともと自分のことを発信するのが好きなタイプでもないし、仕事に関しても、100仕事をして1上げるぐらいで。今まで嬉しいときとか日記的な感じで上げてたのを、もう少し自分がどんなことが好きでっていうことを発信していきたいなと思ったんです。

佐野
それは、これからやっていきたい「食の仕事」にも繋がってくることなんですか?

杉本
そうですね、もっと自分自身のことを知ってもらって、次の仕事につながればいいなと思っています。

佐野
具体的な内容は実際始める時にみんなを驚かせた方がいいと思うので今日は聞きません!(笑)OOTDは本当に素敵で毎日の楽しみになのでぜひ続けてください!

杉本
毎日・・・は無理かもしれないけど3日に1回ぐらいがんばります。

わたしの素

この連載を始めることが決まった時、自分自身の話を書くこともするけれども、できるだけ映像業界で働く、今まであまりお話を聞いたことがない人にインタビューしたいと考えていました。いざ連載が始まり、最初のインタビューを誰にお願いしようと考えた時に、同い年で友人でもある杉本さんにぜひお願いしたいなと思ったので、こうしてお話をお伺いできたのはとても幸福なことでした。「ご飯を用意するって人を思う気持ちだと思う」という杉本さんの言葉が深く心に刺さりました。自分は誰かを大切に思ってご飯を用意できているだろうか?もう少し生活が落ち着いたら、お弁当をつくるところからまたはじめてみようかな。

スタイリスト・杉本学子
スタイリストの祐真朋樹のアシスタントを経て、独立。ファッション誌、広告に加え、タレントやTVドラマにおけるスタイリングなども幅広く手掛ける。
インタビュー・写真撮影:CANSOKSHA

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