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暮らしの中で意識していることのお話

オイシサノトビラ

暮らしの中で意識していることのお話

第2回「アメリカのお話と食いしん坊のお話」のつづき


オイシサノトビラ
松浦さんといろいろお話をしていると、ふだんから意識されていることが一貫していらっしゃると感じます。なにか趣味はあるのでしょうか?

松浦弥太郎
こういう言い方すると誤解されるかもしれないし、かっこつけてるように思われるかもしれないけど、僕は自分の生活が趣味みたいなものなんです。衣食住がすごく楽しいし、毎日がいつも嬉しい。
ランニングや食べることや料理とか、仕事も、もしかして趣味って言えるものがあるかもしれないんだけど、そうすると全部が趣味かもしれない。だから、生きるってこととか暮らし全部が趣味ですね。

暮らしはめんどくさいことだらけなんです。
料理もそう。 お風呂に入ることも、掃除することも、人と関わることも、仕事だってそう、めんどくさいことだらけでしょ。でも、そのめんどくさいことを楽しむということが大事。めんどくさいことを受け止めて、それを機嫌よく楽しむ工夫をするのがいちばんだって僕は思います。でも、みんなめんどくさいことは嫌々やるとか、めんどくさいから簡単にやっちゃうとか、めんどくさいからお金で解決しちゃうとかしがちですよね。

もう少し言葉を変えて言うならば、現実と向き合う、現実を受け止める、逃げない。そうすると同時に感謝の気持ちも生まれますよ。現実を受け止めるってことは、感謝をするってこと。感謝する心のあらわれが「今日もていねいに」という生き方になるのです。

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これも趣味とは異なるかもしれませんが、インスタグラムを拝見していると、たまにとても大事にされているんだろうなと思う写真がアップされています。たとえばテディベアとか。どのようなものを大事にされているのかを教えてもらいたいです。

松浦弥太郎
大事にしているもの ──── 全部大事。大事なものって友だちみたいなもんじゃないですか。自分が好きな友だちの紹介の仕方って難しいよねっていう感じでもある。

僕がいちばん大事にしてることって何かって言うと、基本的に「すべてを肯定」する、すべてを受け止めるっていうことが僕にとっては一番大事なことで、 否定したりとか、批判したりとか、避けたりとか、無視をするとか、そういうことをしない。日々の暮らしの中って、いいことも起きるし嫌なことも起きるし、大変なことも起きる。理不尽なことも起きるし、傷つくことも起きるけど、でも僕はそれを全肯定することをベースにしています。

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意識的に肯定するようにしていく…。

松浦弥太郎
「どんなことにもよほどの理由がある」と僕は思っています。その上で肯定するためには、なぜ肯定した方がいいのかを自分で理解を深めて努力をしなければいけない。簡単じゃないことはわかってるんですけど、絶対そっちの方がいいって僕は思ってるから、そのために必要なマインドセットを常にしている。

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それは昔からですか?ずっと意識されてきているのでしょうか。

松浦弥太郎
10代から20代、30代、40代、生きていく中で、いろんな出来事があったし、いろんな経験と失敗もしてきた中で、どうしたら自分が日々機嫌良く生きていけるか、しあわせになれるのかを考えるんですね。物質的だとか経済的な、その目標とか目的ではなく。悩んで、いろいろ自分で考えていく中で、持つべきものと持たざるものは何かとか、少しずつ気づいてきたことです。
だから、ある日突然悟ったわけではなくて、いつも毎日、どうしたらいいんだろうっていうことをずっと思考している。今はこういう風に思ってる。でもそれもすごく流動的ですね。今はこう思ってるけれど、明日は変わるかもしれない。

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日々考えて少しずつ気づいて、自分が変わることも肯定して受け入れていくとういことですね。とても大切なことを教えてもらいました。ぜひまたお話を聞かせてください!

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